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(離婚1-7)実家に帰った妻からいきなり離婚請求がきた

Q 妻は私を置いて突然実家に帰ってしまい、もう5年が経過しています。再びよりを戻すことは 考えられないのですが、離婚するつもりもありませんでした。この度、妻から離婚請求がされ ましたが、そんなことが通ることはあるのですか。

 

 結婚生活を放棄した配偶者からいきなり離婚請求をされれば、こんな自分勝手な離婚請求が通るのはおかしいと感じられるのはごもっともかと思います。

 

 それでは、まず、法律上、どういう場合に離婚請求が認められるかを見てみましょう。民法には、離婚が認められる場合として5つの場合(①不貞行為②悪意の遺棄③配偶者の生死が3年以上不明④強度の精神病で回復の見込みがない場合⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき)を規定しています。これらを離婚原因などと言います。

 

 ご相談の事情からすると、妻が突然実家に帰ってしまったということは、このうちの③悪意の遺棄にあたりそうですし、5年間も別居が続いているということは、夫婦関係は事実上なくなっているに等しいわけですから、⑤婚姻を継続し難い重大な事由にもあたりそうです。

 

 そうすると、自分勝手にあなたを置いて実家に帰ってしまった妻からの離婚請求は、民法が認める離婚ができる場合にあたるため、認められてしまいそうですね。

 

 しかし、自分勝手に家を出てしまい離婚原因を作った夫婦の一方が、自分から離婚を請求することが認められるのはおかしいという感覚も理解できなくもありません。このように、離婚原因を作った配偶者のことを有責配偶者などと言いますが、先ほどのような5つの離婚原因が認められる場合でも、裁判所は、有責配偶者からの離婚請求を一定の条件をクリアしないと認めないという扱いをしています。

 

 一定の条件というのはどのようなものかというと、①夫婦の別居が年齢や同居期間の対比において相当長期間に及ぶこと、②夫婦間に未成熟の子がいないこと、③相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれる等離婚請求を容認することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が認められないこと、などとされています。

 

 ご相談の事情からは、ご年齢や同居期間はわかりませんので、①については何とも言えませんが、5年間の別居期間は、それなりに長期間に及んでいるということは言えると思われます。お子様がいらっしゃる場合には、②も問題になります。離婚請求が有責配偶者からなされているか否かは、離婚が子どもに与える影響とはあまり関係がないと思われるので分かりにくい条件ですが、とても大雑把にいうと、離婚によってお子様の養育等に悪影響がでるような状況かどうかということになると思われます。この点、5年間の別居期間中もお子さんの養育もできていたということであればこの条件もクリアするということになるでしょう。

 

 最後に③についてですが、これも事情にもよりますが、妻からの離婚請求が認められることであなたが精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状況に置かれるかどうかというと、5年間の別居期間も特段生活に支障がなかったということであれば、この条件もクリアすることになるのかもしれません。

 

 そうしますと、自分勝手な妻からの離婚請求ではありますが、離婚が認められる可能性もあるということになります。ちょっと残念な結論かもしれませんね。

 

 もっとも、翻って考えてみますと、妻が家を出て行ってしまったのは何が原因だったのか、何の理由もなく出て行ったのであれば、離婚原因としての「悪意の遺棄」にあたることもありますが、夫婦間の何等かの問題が先にあって実家に帰らなければいけなかったような、別居について正当な理由がある場合には、そもそも離婚原因の「悪意の遺棄」とは言えず、妻の方が一方的に悪い有責配偶者とはそもそも言えないかもしれません。

 

 そうしますと、5年間の別居期間があること、あなた自身にもよりを戻そうという意思がないことなどは、離婚原因の⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由にあたり、離婚請求が認められても仕方がない場合なのかもしれません。

 

 いずれにしても、このようなケースで離婚が認められるかは、5つの離婚原因にあたるのか、妻が有責配偶者と言えるのか、有責配偶者からの離婚請求が認められる3つの条件がクリアされているか、という個別の事情をもとに検討をすることになり、専門的な知識をもっている弁護士に事情を話して相談してみる必要があるかと思います。

 くわしいことは沖縄弁護士会の弁護士に相談してみてください。

 

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