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(離婚1-3)アメリカ人の夫が日本に帰ってこない

 私は基地に勤めるアメリカ人と5年前に結婚した日本人です。結婚後、夫と日本国内で同居していましたが、夫が単身で海外勤務になった後、日本に帰ってきません。どうも別の人と暮らしているようなので離婚したいと思いますが、どうすればよいでしょうか。

 

 夫婦が離婚する場合、離婚に伴いあらゆる法律問題(親権・養育費・財産分与・慰謝料など)が生じるケースがあります。離婚する夫婦のどちらかが外国人あるいは夫婦のどちらも外国人の場合、これらの法律問題に加えて、どの国の法律を適用するかという問題や、どの国で裁判ができるか等、国際離婚特有の問題が存在するため、日本人同士の離婚の場合に比べて問題が複雑になりがちです。

 

 国際離婚の問題として、まず、どの国の法律を適用するか(準拠法)という問題があります。準拠法は、離婚・親権・養育費・財産分与・慰謝料など、法律問題ごとに決められるので(たとえば、離婚は日本法、親権は外国法ということもあり得ます。)、その点の注意が必要になります。

 

 今回のケースでは、相談者は日本にお住まいの日本人の方で、離婚についてのご相談なので、離婚の準拠法は日本法になると考えられます(法の適用に関する通則法第27条但書)。日本法では協議離婚が認められていますので、夫が離婚に同意している場合には、日本法の手続きに則って協議離婚をすることが可能と考えられます。もっとも、離婚する夫婦がアメリカでも婚姻登録をしている場合、アメリカでは州によって法律が違うものの各州とも協議離婚を認めていないため、仮に日本で協議離婚が成立しても、その離婚はアメリカでは効力をもたない可能性があります(※ その場合、別途アメリカ法に則って離婚手続を行う必要があります。)。

 

 一方、夫が離婚に応じてくれない場合や、夫と連絡が取れないような場合、離婚をするためには調停や裁判の手続きを取る必要があります。

 国際離婚の調停や裁判で問題となるのは、国際裁判管轄です。つまり、「日本の裁判所で裁判等をすることができるのか」という問題です。裁判管轄が日本になければ、外国で裁判を起こすなどの手続きを取る必要が生じますので、当事者にとってこの問題は極めて重要な問題となります。

 

 婚姻関係や親子関係を対象とする裁判や調停の国際裁判管轄については、これまで明文規定はありませんでしたが、平成31(2019)年4月1日に施行された改正人事訴訟法により明文化されることになりました。改正法によれば、離婚の調停や訴えについては、以下の場合に日本での裁判管轄が認められることになります。

 

①夫婦双方の住所(住所がない場合又は住所が知れない場合には、居所)が日本国内にあるとき(人事訴訟法第3条の2第1号)

②夫婦双方が日本の国籍を有するとき(同条5号)

③原告の住所が日本国内にあり、かつ、夫婦の最後の共通の住所が日本国内にあるとき(同条6号)

④原告の住所が日本国内にあり、かつ、被告が行方不明であるときや、被告の住所地国でされた同一の身分関係と同一の身分関係についての訴えに係る確定した判決が日本国で効力を有しないときその他の日本の裁判所が審理及び裁判をすることが当事者間の衡平を図り、又は適正かつ迅速な審理の実現を確保することとなる特別の事情があるとき(同条7号)

 

 今回のケースの場合、相談者は、結婚後、夫と日本国内で同居していたとのことで すので、同条6号により、日本の家庭裁判所に離婚手続きを申し立てることができると考えられます。

 

 相談者が日本の役所にのみ婚姻届を出していた場合、日本の家庭裁判所で離婚が認められた後、日本の役所で離婚を戸籍に反映させるための手続をとる必要があります。相談者がアメリカでも婚姻登録をしていた場合は、別途、アメリカにおいても離婚手続をとる必要があります(※ 内容については州毎に異なります。)。

 

 以上のように、国際離婚については問題が複雑ですので、具体的な事情によって判断や結論が変わることも十分にあり得ます。また、日本に裁判管轄が認められる場合でも、日本で離婚手続きをすすめた方がよいかどうかは個別の事情によって異なります。

 詳しいことは、沖縄弁護士会の弁護士にご相談ください。

 

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