外国から子供を連れ戻すには?
2018/05/07

私は先日結婚をしてとてもしあわせです。離婚などというものが世の中に存在すること自体、あまり理解できないのが正直な気持ちです。それはさておき、最近ハーグ条約とかいう条約によって外国から子供を連れ戻したというニュースを見ました。ハーグ条約って何ですか?
ハーグ条約は、1980(昭和55)年にオランダのハーグで採択された条約(正式名称「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」)で、親の一方が16歳未満の子を不法に他国に連れ去るなどした場合、その子を、その子が連れ去られる前にもともと住んでいた国(他方の親の元)に戻すための応急の手続を定めた条約です。
例えば、外国人父と日本人母の夫婦が子と共に日本で生活していたところ、夫婦が不仲になり、外国人父が不法に子を母国(外国)に連れ去ってしまったとします。
急に外国に連れ去られた子は言葉が通じない慣れない環境に置かれてとても不安になるものの帰りたくても帰れない、他方で急に子を連れ去られた日本人母も言葉の壁がある中で土地鑑もなく法制度の知識もない外国でどのように子を探せばいいか、子を探せたとしてもどうすれば子を連れて帰れるのか分からない、ということになってしまいます。
ハーグ条約は、このような場合でも子をもともと住んでいた国(上の例では日本)に連れ戻せるように、締約国間に必要な協力システムや子の引渡しのための手続を定めた国際的な取り決めです。
もちろん、子の利益を守るため一定の場合には子の引渡しが拒否されることもありますし、また、ハーグ条約は子の引渡しについての応急的な手続を定めたもので親権や監護権を確定するための手続を定めたものではありません(子を引き渡されたとしても、それによって子を引き渡された親が親権者や監護権者に確定するわけではない)のでご注意ください。
日本でも2013(平成25)年5月に国会でハーグ条約が承認され、国内の法律も整備されて2014(平成26年)4月から発効しています。そして、外国に連れさられた子を日本に取り戻した事例も出てきています。
外国に子を連れ去られた場合、ハーグ条約(及び実施法)によって子の引渡しを求めることができるかどうか(子が連れ去れた国がハーグ条約の締約国かどうかなど)、国(外務省ハーグ条約室)に援助を申請するにはどうしたらいいか、その場合どのような書類を準備しなければならないのか、子の引渡しを拒絶される可能性があるかどうかなどについて、すぐに専門家に確認することが大事です。
沖縄弁護士会ではハーグ条約に関する事件の当事者からのお申し出があれば弁護士を紹介しております。
くわしいことはぜひ沖縄弁護士会にご相談ください。
ハーグ条約事件対応のご案内
http://www.okiben.org/modules/information/index.php?page=article&storyid=108